季節と食卓(11月 霜月)

霜月 〜ボージョレ・ヌーヴォ

毎年11月の第三木曜日午前0時に解禁となるボージョレ・ヌーヴォ。今年2023年の解禁日は11月16日(木)です。

日本では、日付変更線の関係で本場フランスよりも8時間早く解禁される事から、解禁イベント等が大きく取り上げられ、その消費量はフランスに次いで多いと言われています。つまり日本でも大変人気のワインという事になります。

フランスワインの銘醸地として名高い、ブルゴーニュ地方ボージョレ地区でボージョレ・ヌーヴォは造られています。「ヌーヴォ」とはフランス語で「新しい」という意味、その年に収穫されたブドウから作られる新酒の事を言います。

正式にボージョレ・ヌーヴォという言葉が生まれたのは1951年の事、僅か70年前の事です。昔からワイン作りが盛んだったこの地方で、秋の収穫を祝う祭りでワインを捧げた事が始まりと言われています。当時フランス政府の取り決めで、全てのワインの解禁日は12月15日と決められていました。

しかし、このワインのぶどう品種「ガメイ」はフレッシュな酸と軽さが大きな特徴で、熟成期間が短く若い新酒の方がより美味しい、という事を知っていた地元民の強い要望で唯一解禁日が早くなったそうです。

一般的に赤ワインは、熟成された重みやタンニンの複雑さが好まれ、ジビエやステーキ等の肉料理などと合わせるのが良い、と思われる傾向にありますが、ボージョレ・ヌーボォはシンプルな和食とも大変相性の良いワインと言われています。

熟成期間が短いので、淡く明るめのカラーと野イチゴやベリー系の甘い香りが大きな特徴の、大変チャーミングなワインです。タンニンも弱く爽やかな酸があり、アルコール度数も低いので程よく冷やせば飲みやすくなります。

このボージョレ・ヌーボォのフルーティな香りと調和すると言われているのが、かつお出汁や燻製などの煙香です。かつお節のいぶし香を利かせた野菜の焼き浸しなど、良いマリアージュが期待できます。ベリー系の酸味を生かすのなら、南蛮漬けなどのお酢を使ったお料理とも大変相性が良くさっぱりといただく事が出来ます。また、醤油やみりんベースのお料理も意外にも良いマリアージュを生みます。和牛のローストビーフやブリのカマ焼き、きんぴら等の煮物とも美味しくいただけますし、マグロやブリなどの醤油でいただく赤身のお刺身とも良く合うと言われています。

世界中のワインラバーが一斉に盛り上がるボージョレ・ヌーヴォの解禁日。生産地区のボージョレでは、解禁を祝うイベントが催され街中がボージョレ・ヌーヴォ一色に、パリでは地元のバーやレストランに足を運びワインの出来栄えについて意見を交わし解禁のお祝いをする風習があります。

今年の解禁日はどのような光景になるのでしょう。

*タンニンとは植物に由来するポリフェノールの一種で、渋みを表すワイン用語

【今月の寄物陳思】

ボージョレ・ヌーヴォの解禁日は、もともとはぶどうの収穫を祝う収穫祭が発祥です。
カラフルなドット柄のプレート、丸いフォルムの器には葡萄の実をイメージし、収穫の喜びをポップに表現しました。

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