25人の陶芸家によるノミネート展、「陶芸の進行形」開催

2023年9月30日(土)から25人の陶芸家によるノミネート展、「陶芸の進行形」が虎ノ門にある菊池寛実記念美術館にて開催されています。※会期は2023年11月26日(日)まで。

「陶芸の進行形」とは?

本展は、1970 年代から 1980 年代半ば生まれの世代を中心に 25 名の陶芸家をノミネートし、現在進行形の陶芸作品をご紹介する展覧会です。25 名はいずれも菊池寛実記念美術館が 2004 年度から隔年で開催している公募展「菊池ビエンナーレ」で受賞、入選してきた作家たちです。

現在、40 代から 30 代後半になる彼らは、陶芸の素材や技法、制作工程や歴史、伝統といった陶芸
にまつわる要素に独自の視点を持ち、あるいは更に、現代美術の発想や多様なカルチャーからの影響を反映させ、現在の美意識で陶芸作品を制作しています。

一つの世代として括るには年齢に幅がありますが、団塊ジュニアを含み、大半をロストジェネレーションが占めるこの世代は日本の陶芸界においては層が厚く、制作の初期段階から「菊池ビエンナーレ」をはじめ様々な公募展を通して意欲的に作品を発表し、存在感を示してきました。

その後のキャリア形成は様々で、公募展での発表を継続する作家がいる一方、国内外での個展活動に注力する作家、または出産や育児を経て活動を本格的に再開した作家など、現状は異なります。

本年、「菊池ビエンナーレ」の第 10 回展開催を迎える記念に、その軌跡として 25 名の作家たちの今をご紹介し、進行形の陶芸作品をご覧いただきます。また、「特別展示」として第 9 回展までの大賞作品を一堂に展示し、併せて「菊池ビエンナーレ」の歴史を振り返ります。

楽しみ方と注目の陶芸家

今回、「陶芸の進行形」を観覧して来たというNarative Magazineの運営会社「物語運輸」の代表、五十嵐さんに「陶芸の進行形」の感想と、特に注目の作家さんについてうかがいました。

――「陶芸の進化形」を観覧した感想を教えて下さい。

五十嵐さん 

日本の現代陶芸の素晴らしさを世界に広め、支援していく上で誰よりも尽力された菊地智さんの壮観な「菊池寛実記念 智美術館」が日本の陶芸家の特別な創造的思考を斬新で目を惹く感動的な演出で展示しています。

陶芸作品はそれぞれが独自の世界の主役として展示され、日常生活では得られることのない深みや感性を提供することを意図していると思いました。日本陶芸界の20年の軌跡を振り返りつつ、作り手たちが挑む、斬新な取り組みは器好きの方はもちろん、器との接点があまりない方でも楽しめる内容でした。

――皆さんおすすめだとは思いますが、特に五十嵐さんの印象に残った作家さんを教えて下さい。

五十嵐さん 北は北海道から南はシンガポールまで、様々な地域や風土にゆかりを持つ1970年代~1980年代半ば生まれの作家たちの個性豊かな作品が見所です。技術が身に付き、更に昇華できるこの年代の現在進行形を見てとれました。

ポスターに起用されている星野友幸さんの「練継器」は、淡いピンクのマーブル模様が印象的な磁器で、星野さんの代表的な技法「練継」が見所でした。また新里明土さんの光を透過する「光器」も印象に残る作品です。

岡田泰さんの約4年の歳月を経て完成した「淡青釉薬」は萩土の上に白萩釉を掛け、更に銅釉をコンプレッサーで吹き付けることであらわれる淡い濃淡を青が特徴です。日本海の美しさが見て取れる作品だと思います。

展覧会概要

〇展覧会名:「陶芸の進行形」展
○会期: 2023 年 9 月 30 日(土)~11 月 26 日(日)
○観覧料 :一般 1,100 円/大学生 800 円/小中高生 500 円
○主催:公益財団法人菊池美術財団、日本経済新聞社
○会場:菊池寛実記念 智美術館(東京都港区虎ノ門 4‐1‐35)
 https://www.musee-tomo.or.jp/
○開館時間:午前 11 時から午後 6 時まで(入館は午後 5 時 30 分まで)
○休館日:毎週月曜日
○展示内容:「菊池ビエンナーレ」受賞、入選作家から 1970 年代~80 年代半ば
生まれの作家を中心に 25 名をノミネートし、新作および近作を展示。
また、「特別展示」としてこれまでの大賞受賞作品を展示します。

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