「伊万里焼」とは? 特徴や魅力、窯元や陶器市情報

伊万里焼の起源と歴史的変遷

日本で磁器が本格的に焼かれ始めたのは、約400年前に豊臣秀吉の朝鮮出兵の後、有田(現在の佐賀県有田町)でした。鍋島直茂が朝鮮から多くの陶工を連れて帰り、有田の泉山で磁器の原料となる陶石を発見し、磁器を焼いたことが始まりとされています。

有田周辺で焼かれた磁器は伊万里津に運ばれ、伊万里港から海外へと輸出されました。このため、「伊万里焼」と呼ばれるようになり、江戸時代に焼かれたものは「古伊万里」と呼ばれます。

伊万里焼は寛永年間(1624~1643)に関西方面に広まり、寛文年間(1661~1671)には江戸や関東方面にも拡大しました。国内での流通が盛んになり、武士や公家だけでなく、広く一般の人々にも広まり、日々の生活に華やかさをもたらしました。

オランダ東インド会社(VOC)が中国からの磁器の輸出ができなくなった際、有田焼は代替として輸出契約が結ばれ、約100年にわたってヨーロッパの市場に供給されました。この時期、伊万里焼はヨーロッパの貴族たちにとって非常に人気がありました。

有田焼は異なる様式で表現され、柿右衛門様式や古伊万里様式の磁器は「白い金」とまで呼ばれ、ヨーロッパの磁器に大きな影響を与えました。

伊万里焼の魅力

伊万里焼の魅力は、その透き通るような白い磁肌です。繊細で均一な仕上がりは、職人たちの高い技術と手仕事の精密さが感じられる要素となっています。白磁の美しさは、伊万里焼の製品がどんな環境にも調和する洗練されたデザインとして評価されています。

染付けに使用される呉須(藍色の顔料)やガラス質の上絵具を活用した赤絵も魅力です。これらの豊かな色彩は、花や龍、幾何学的な模様などの独創的で洗練されたデザインに生命を吹き込んでいます。複雑な模様やモチーフが見事に表現され、製品全体が美的な調和を醸し出しています。

伊万里焼の耐久性と頑丈な作りも特長です。異なる種類の粘土から作られた陶器は、日常の使用に耐え、その美しさを長く保ちます。これにより、伊万里焼の製品は食器から花瓶、美術品まで様々なアイテムとして、長く愛用されることができます。

伊万里焼の製品は熟練した職人たちによる手描きという工程に魅力があります。リスの毛から作られた筆を使って複雑な模様やデザインが描かれ、その精緻で正確な技術が製品に奥深さと高級感をもたらしています。職人の手仕事による丹念な仕上げが、伊万里焼を特別で魅力的なものにしています。

伊万里焼の種類、その特徴

白磁
素地に透明な釉薬をかけただけの白い器。

染付
白磁に呉須(藍色)絵の具で柄を描いたもの。

色絵
白磁や染付に赤や金など様々な色で上絵を描いたもの。

伊万里焼の代表的な窯元

瀬兵窯 陶筥
「伊万里からの新しい風」をテーマに、デザイン性の高い日用食器を手がける。作品は青磁、染付、赤絵などあらゆる技法を使っており、スタイリッシュな器がシリーズでそろいます。



魯山窯
藩窯時代から伝わる釉薬を使い、手描きによる色鍋島をつくる窯元です。美術装飾品から普段使いの食器まで幅広い品ぞろえが特長です。

現代の伊万里焼

現在でも、佐賀県伊万里市内で製造されるものを伊万里焼、有田町で製造されるものを有田焼として呼ばれ、その美しさと歴史的な価値は多くの人々に愛され続けています。

伊万里焼の陶器市ー伊万里窯元市

伊万里市大川内町で毎年ゴールデンウィークに開催されています。

まとめ

昔は非常に高価だった伊万里焼。豪華なお皿が一枚あると食卓が華やかになります。骨董市やオークションなどで古伊万里を探してみてはいかがでしょう。

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