季節と食卓(1月 睦月)

睦月 女正月

月の満ち欠けを暦の基準にしていた古の日本では、一年で最初の満月の日(旧暦一月十五日)を一年の始まりの日、元日としていました。人々は満月には特別な力があると信じ、「今年も明るく穏やかな日々が続きますように」という願いや希望を年の初めに輝く天満月に重ねたのです。明治になり、太陽暦となってからは、元旦を「大正月」、旧暦一月十五日を「小正月」と呼ぶようになりました。小正月には五穀豊穣を願う餅花を飾り、小豆粥を食べる風習があります。小豆の赤には邪気を払う力があると考えられていたからです。

また、お正月行事が一段落する小正月は、年末年始忙しく働いた女性を労う意味で「女正月」とも呼ばれます。この日には女同士で着飾ってお芝居を観に行ったり会食をしたりと女性にとっては特別の日だったようです。昔ほどではないにせよ、今も子供や孫たちの帰省などで忙しいお正月を過ごす女性はいらっしゃいます。

また、お勤めをされている方にとっては、年明けの仕事が本格的になってくる頃でもあるでしょう。小正月の日に、お洒落をして出かける。素敵な空間で上質で美味しいお食事をいただき、笑い語らう。その特別なひとときは、忙しかったお正月の労いにとどまらず、これから始まる一年の活力に繋がっていくことでしょう。見上げれば空には満月です。「令和の女正月」も良いものではないでしょうか?

【今月の寄物陳思】

・柑橘の橘(きつ)は「吉」に通じます。大きな晩白柚(ばんぺいゆ)に、新しい一年が幸多き年になりますようにという思いを込めて。
・紐の五色にはそれぞれ「仁・義・礼・智・信」の五常の意味があります。人として決して忘れてはいけない五常の心、年の初めに今一度心に刻みたいものです
・餅花は、本来柳のようなしなる枝を使うことで稲穂を表現して五穀豊穣を願いますが、今回は敢えて枝ぶりが特徴的な雲竜梅を使いモダンさを出し、稲穂を晩白柚に添えることで「収穫の吉」を祈願しています。

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