季節と食卓(2月 如月)

如月 節分

二月の年中行事といえば節分。節分は文字通り、節(季節)の分かれ目のことで、本来は、立春・立夏・立秋・立冬、それぞれの前日がすべて節分となります。現在二月の節分だけが風習として残っているのは、春夏秋冬を一年と考えれば、立春の前日は言わば元日に対しての大晦日にあたるからでしょう。

新しい年を迎えるにあたり、邪気を祓い福を招く節分の行事、豆まき。これは中国の追難の儀式(別名鬼やらい)に由来します。「鬼(おに)」は「陰(おん)」「隠(おぬ)」とも言われ、目に見えない邪気、疫病、不作など悪いこと全ての象徴です。穀霊が宿ると信じられていた豆は、「魔目(魔の目)」「魔滅(魔を滅する)」に通じ、煎り豆を使うのは、「煎る」に「(魔の目を)射る」という願いを込めるからです。

〈今月の寄物陳思〉

・鬼が住むのは鬼門である丑寅の方角なので、鬼は牛(丑)の角をもち、虎(寅)皮の服を着ていると言われています。パネルの陶板の文字は寅。牛・福・寿の書陶の小皿と合わせて「節分」を表現し、パネルや皿の文字の赤に厄除の願いを込めました。
・大きなお皿は、直火にかけることができる信楽焼の平土鍋。これでじっくり炒った豆とすりこ木、尖った葉が痛い柊の枝を使って鬼を討ちます。
・恵方巻や鬼が匂いを嫌うという鰯など節分の行事食の後に用意したデザートは、もうすぐやってくる愛の日を少し意識してチョコレート。抹茶色との市松模様は、人気アニメの「鬼滅の刃」を彷彿とさせます。こんな茶目っ気のある「寄物陳思」も面白いのではないでしょうか?

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