プロの器使いテクニック vol.1 大村隆亮(ab restaurant)

目次

〈プロの器使いテクニック〉

家庭での器使いと、レストランでの器使いはどう違うのでしょうか?プロの料理人は器をキャンパスに見立て、料理で絵を描くように独特の器使いで魅せます。同じ器であっても日本料理に使ったり、フレンチに使ったり、用途は様々。この連載ではプロがどのようなセンスで器を使いこなすのかを、実際の盛り付け写真と共に紹介していきます。

vol.1 大村隆亮(ab restaurant)

Profile
1989年生まれ。埼玉県出身。専門学校卒業後、渋谷松濤のフランス料理店「シェ・松尾」にて5年半研鑽を積む。24歳という若さで成城店のスーシェフを務め、同年、鴨調理専門資格「メートルカナルディエ」を世界最年少で取得した。その後、大手飲食企業を経て、フランス本国では二つ星を獲得している「ティエリー・マルクス銀座店」で修業。さらに飲食経営者である実兄が経営するビストロ「ネオビストロ MURA」にてコンサルタント業をスタートし、2019年9月28日、東京・市ヶ谷の地に「ab restaurant」をオープンした。
オフィシャルサイト:https://ab-yotsuya.com/

使用した器の作家:宮下将太

Profile
1992年生まれ、神奈川県出身。幼いころに千葉県木更津市に移住。2010年に東京、表参道にて美容師に従事。2013年には東京、表参道にてレストランにも従事した。2017年に陶芸に出逢い、岐阜県土岐市に移住、弟子入り。2019年に独立し、岐阜県土岐市に工房を構えた。

作品
釉薬を原料から調合し、多種多様な色彩と質感を生み出す。3Dデータ技術を用いて美濃焼の新しい提案をした「HINOMIYA」シリーズも人気。
オフィシャルサイト:https://www.shotamiyashita.com/

カブと新玉ねぎのポタージュ×bowl L(ice)

真っ白い「カブと新玉ねぎのポタージュ」をあえて白い器に入れてミニマルな一皿に仕上げました。添えられているのはカブの葉を乾燥させたパウダーとバジルのオイル。パウダーとオイルを加えるとまるで釉薬のように、真っ白いスープに広がる演出がおしゃれです。

使用した商品

武蔵麦豚のパテ×bowl S(syrup red)

艶のある「syrupシリーズ」からパテには鮮やかな赤をチョイス。同じ赤系統でまとめています。

使用した商品

鰹、焼きナス×bowl S(syrup blue)

海のような青い器には鰹を焼きナスを盛り付けて涼やかな一皿に。

使用した商品

パニス、ベジョータ×bowl S(syrup yellow)

ハッとするような情熱的な黄色は同系色のパニスを合わせて。

使用した商品

ブレス鶏×bowl S(syrup white)

美しい貫入が見応えのある白系の器は使いやすい万能選手。鶏肉のピンクも綺麗に映えます。

使用した商品

ホワイトアスパラ、トリュフ×bowl S(albus)

偏光パールのような色合いの「albus」は上品な雰囲気。トリュフなど高級食材との相性抜群です。

使用した商品

アオリイカ、根セロリ×bowl S(wisteria)

「wisteria」は藤の花。その名の通り美しい深みのある紫色が白い食材を美しく魅せます。

使用した商品

サバ、シャドークイーン×bowl S(victor)

ザラっとしたマットな質感の「victor」は上品なベージュでどんなお料理とも相性の良い色です。鯖など生のお魚の色味も綺麗に映えます。

使用した商品

フロマージュブラン、オリーブ×bowl S(星空織部)

深い緑の「星空織部」には真っ白いフロマージュブラントグリーンオリーブを。個性的な色合いの器も同系統の食材をアクセントにすると上手にまとまります。

使用した商品

牡蠣、ミルク×bowl S(mantle gray)

凹凸が宇宙の隕石のような印象の器はとっても個性的。マットなグレーが牡蠣の殻を想起させます。

使用した商品

人参、ウニ、キャビア×bowl S(gold apollo)

こちらも凹凸のある「apollo」シリーズからマットな輝きのゴールドカラーです。煌びやかなテクスチャーがウニやキャビアといったゴージャスな食材をより引き立てます。

使用した商品

オマール、フヌイユ×bowl S(silver apollo)

同じく「apollo」シリーズのシルバーにはオマールを。黒系の器に赤系の食材の組み合わせは鉄板のコーディネートです。

使用した商品

ノドグロ、毛蟹×bowl L(海溝)

「海溝」はその名の通り海に潜ったような深い青。オレンジやピンクなど、暖色の食材との相性がとても良いです。

使用した商品

銀の鴨、ジュ、ヌーベル×bowl L(chaos)

「メートル・カナルディエ」を世界最年少で取得した大村シェフによる鴨料理には宮下さんの最新のシリーズの「chaos」を。レア目の火入れにした鴨の赤が深い黒の器でより美味しそうに輝きます。

使用した商品

銀の鴨、アピシウス、クラシック×bowl L(黒煌)

艶のある深い黒色の「黒煌」にも鴨料理を合わせて。光が当たることで表情が変わるので、メイン料理をドラマティックに演出してくれます。

使用した商品

ゴールドラッシュ、金華ハム×bowl S(jewel gold)

宝石のような器を作りたいと挑戦した「jewelシリーズ」。メインの後の打ち上げ花火を意識してチョイス。ゴールドラッシュ、金華ハムなど食材も「金」でそろえています。

イチゴミルク×bowl S(melty red)

器と料理の一体感がすごい一皿。まさにイチゴミルクのような釉薬の「melty red」にミルクアイスとイチゴを盛り付けました。

使用した商品

チョコレート、牛蒡×bowl S(melty sepia blue)

こちらもチョコレートと牛蒡の茶色を釉薬の茶色に合わせてコーディネート。

使用した商品

カシス、赤ワイン×bowl S(melty blue)

こちらはやや上級者向けの青系の器に赤系の食材の組み合わせ。対比する色を組み合わせることで、食材の色鮮やかな色彩が際立ちます。

使用した商品

アブサン×bowl S(melty藍媚茶)

濃い抹茶のような色の器は意外とどんな食材にも使いやすそうです。写真のように白系と黄系の薄い色合いの食材も、器がビシっとまとめてくれます。

使用した商品

text:m.yamamoto
photo:Hayato Tamura

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