日本酒のカリスマ千葉麻里絵さんが語る、一期一会の器との出会いから広がる世界

一期一会に酔いしれる酒場、Eureka!

西麻布交差点からほど近いビルの2階に日本酒愛好家たちが夜な夜な集う日本酒バー「EUREKA!」(ユリーカ)があります。オーナーを務めるのは、日本酒のカリスマと呼ばれる千葉麻里絵さん。店名の「EUREKA!」は古代ギリシアの科学者、アルキメデスが閃きを得た瞬間に発した言葉にちなんでいます。日本酒と料理のペアリングなど斬新な日本酒カルチャーを提案してきた千葉さんが、新たな日本酒の魅力や、日本酒を通しての人との出会いを発見できればという思いを込めて名付けられました。

写真左:千葉麻里絵さん。背景にあるのが「STRAWBERRY meeting」のネオンサイン

店内で光るポップなネオンサイン「STRAWBERRY meeting」は、一期一会の一期を“イチゴ”に掛けた、千葉さんの遊び心あふれるシグネチャー。「EUREKA!」は一夜の出会いに心躍らせる人々が集う空間でもあります。そんな「EUREKA!」を運営する千葉さんは陶芸家 宮下将太さんの器の愛用者。宮下さんの器の魅力、使う愉しみなどについてお聞きしました。

ハレの日にも日常にも多彩なシーンになじむ器

岐阜県土岐市に工房を構え、多岐にわたるジャンルとのコラボレーションなどで新時代の陶芸家として注目されている宮下将太さん。その宮下さんと千葉さんとが出会ったのは、2年前、某雑誌の企画で行われた日本酒プロジェクトでした。千葉さんと千葉県にある酒蔵とがコラボして日本酒を造り、そのラベルデザインを「King Gnu」の常田大希さんが主宰するクリエーティブレーベル「PERIMETRON(ペリメトロン)」の佐々木集さんが担当。そのプロジェクトで生まれる日本酒にふさわしい酒器を作るクリエイターとして白羽の矢が立ったのが、宮下さんでした。

宮下さんのmaro盃

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宮下さんが作り上げたのは、ウイスキーのデキャンターのような蓋がついた斬新なデザインの徳利と盃。その器に魅せられすっかりファンになった千葉さん。以来、宮下さんとは、千葉さんのお店に宮下さんが訪れたり、千葉さんが宮下さんの器を買い求めたりと親交を深めています。

千葉さん(以下、千葉)「宮下さんは、とてもチャーミングな方です。陶芸に対するしっかりとした信念があり、建築など器以外の知識の造詣も深い。新しい釉薬の研究なども熱心で、後に続く後輩たちのため自分ができることは何だろうかという世界観で陶芸界全体のことを考えている。そういった考え方にとても共感を覚えます」

店で実際に使っているmaro盃を手に取って、その魅力を語る千葉さん

器が好きで、陶芸家が作る、いわゆる“作家もの”と呼ばれる器などを日頃からよく見に行くという千葉さん。宮下さんの器は作品そのもの質の高さに加えて、手に取って、触って、使いたくなるような風情があるところが魅力的だと千葉さんは語ります。

千葉「器によってはハレの日などの特別な日のため、または普段使い用などシーンを選ぶものもあります。けれど、宮下さんの器はレストランのような非日常的な場でも、日常生活でも、どんなシチュエーションで使ってもしっくりと馴染むんです。そこがとても面白いと思います。

宮下さん自身は器をこう使ってほしいとは決して言いません。どんな風に器を使うかをその人の感性に委ねている。そういう所も魅力の一つですね」

先日、四谷のフレンチレストランで開催された宮下さんの器と料理とのコラボレーションイベントに訪れた千葉さん。皿などの器をいくつか購入し、さっそく日常で使ってみたのだそう。

千葉「フレンチレストランというプレミアムなシーンに負けない高級感がありつつも、日常で気軽に使えるカジュアルさもあります。宮下さんの器には不思議な魅力あるんです」

箱に入れて大切に保管されている器。使い勝手の良さで店のスタッフにも好評だそう

日本酒の味わいを引き立てる大切なパートナー

「EUREKA!」では、宮下さんの平盃やmaro盃、ボウルなどが実際に使われています。同店の醍醐味は日本酒と料理の絶妙なマリアージュから生まれるおいしさの発見。300種類もある日本酒に合うようにと考えられた、和食とフレンチが融合した創作料理はメニュー豊富で、センスの良さが評判です。ユニークなアイデアが光る料理を宮下さんの器がグッと引き立ててくれます。

千葉「パステルカラーの黄色やピンク。色や質感も種類豊富で、どれにどう盛り付けようかと考えるとワクワクしてきますね。maro盃は手にすんなりと馴染み、口当たりや使い勝手が良いところはもちろんのこと、豊富なカラーバリエーションも気に入っています。maro盃を見ていると、使いたいシーンが湧いてくるんです。ダークグレーの盃に重厚感のある日本酒に合わせると、リッチな感じが高まりそう。白い盃にはすっきりした夏酒を合わせたいですね。器は日本酒の味わいを高めてくれる大切なパートナーなんです」

「EUREKA!」ではオーダーをお任せにする人が多く、その人の体調や気分を考えながら、料理や日本酒を出していくのだそう。同じく、酒器も飲む酒に合わせるだけでなく、飲む人に合わせて選びます。例えば、香りを楽しむ酒の場合、本来は香りを楽しむため口の広いグラスで出しますが、少し疲れ気味かなと思う人には、maro盃のような小さな盃を使います。香りが控え目になるようにし、ストレスなく酒を楽しめる工夫です。純金を使った特殊な釉薬によるラグジュアリーな盃「maro盃 -jewel gold-」ならば、特別なおもてなしにぴったり。その場の雰囲気を華やかに盛り上げてくれます。

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複数人で訪れている人たちに色違いで出せば、その場の会話も盛り上がる

千葉さんはプライベートでもmaro盃を愛用中。焔(ほむら)と名付けられた「maro盃 -homura-」はオレンジワインを飲むのにぴったりだそう。

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千葉「この盃の色とワインがぴったり合いますよね。光の当たり具合で色が変わるんです。いいなあって盃を鑑賞しながら、いつも飲んでいるんですよ。いつもと違う器を違えば、ちょっと特別な気分になります。maro盃は洗いやすいので、ワイングラスほど手入れに気を使わなくていいところも気に入っています」

ダークな色合いの盃には赤ワインがおすすめだそう。タンニンがしっかり感じられる赤ワインの重量感とマッチします

器からインスパイアされる酒と料理の世界

宮下さんの器から使うイメージが湧くという千葉さんに、maro盃を使った器や料理のコーディネートをお願いしました。日本酒の造詣が深く、料理とのペアリングに独創的なセンスを発揮し、多くの人を魅了してきた千葉さん。新しい器の魅力が覚醒していくような、センスあふれるコーディネートを写真と共にご紹介しましょう。

maro盃 -星空織部- × 「権化 PEAT(ピート)」× 「うふマヨ♥」

深いグリーンの「maro盃 -星空織部-」に合わせたのは、岩手県遠野の醸造酒「権化 PEAT(ピート)」。原材料に加える米ぬかをワラで焙ってから加えることで生まれるスモーキーな風味が特徴です。この風味に合わせた料理が「うふマヨ♥」。卵(ウフ)にマヨネーズソースを掛けたフランスの伝統料理ですが、「EUREKA!」はひと味違います。なんと真っ黒なソース! 箸で卵を割ると、白と黄の卵にイカ墨と黒ニンニクを合わせた黒いソースがかかり、ビジュアルのインパクトが抜群です。卵は燻製卵になっており、「権化」のスモーキーな香りとぴったりと合います。

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「うふマヨ♥」500円(税込み) 使用した商品:maro盃 -星空織部-

千葉「このグリーンを見たときに、色の深さが少し重めの味わいの日本酒が似合うと思い、「権化」を合わせました。ウフマヨの皿は白。盃のグリーンにフォーカスし、目立たせるためです」

maro盃の持つ奥深い色合いが、少し緑がかったウフマヨの黒にも良く似合っています。

箸で卵を割ると黄身がトロリ。見た目の意外性と食べたときのおいしさのコントラストで記憶に残る料理です

maro盃 -aquamarine- × 「仙禽 かぶとむし 2023」× 「牛いちぼ、さくらんぼ、コンソメジュレ」

淡い水色の「maro盃 -aquamarine-」には夏の爽やかなイメージを想起させる「仙禽 かぶとむし」を合わせました。シャープで爽やかなリンゴ酸の酸味がある酒に合わせる料理は、フルーツを使った「牛いちぼ、さくらんぼ、コンソメジュレ」。サクランボの甘酸っぱさが「かぶとむし」が持つ軽やかな酸味と相まって、涼やかなハーモニーを奏でます。

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「牛いちぼ、さくらんぼ、コンソメジュレ」1,800円(税込み) 使用した商品:maro盃 -aquamarine-

千葉「器には淡い水色とのコントラストを考えて、パステルカラーの黄色を選びました。器と器をコーディネートするときは、全体の美しさを意識しています。上質なもの同士を合わせたからと言って、いいコーディネートにはならないと思うんです。器同士の相性を一番に考えますね」

盃の水色と器の黄色、サクランボの赤。実はこれらの色は酒のラベルにも使われている色。絶妙なコーディネートです。

料理に使用したのは「bowl -melty yellow- S」。淡い水色とのコントラストが夏らしい色合いです

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続けて、maro盃それぞれにインスピレーションを感じた日本酒を、千葉さんに選んでもらいました。それぞれの日本酒が持つキャラクターとmaro盃のイメージが重なり合って、それぞれの世界が広がります。

maro盃 -chaos- × 「仙禽 くわがた×UA」

すっきりした味わいの中に甘みや苦味などが感じられる「仙禽 くわがた×UA」。光沢があり、さまざまな色味が重なる「-chaos-」の黒が、くわがた虫の色合いをイメージさせます。

「仙禽くわがた」は「仙禽かぶとむし」をベースに数種類のお酒をアッサンブラージュ(ブレンド)した酒

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maro盃 -黒煌-(コクコウ)× 「HANATOMOE 水もと × 水もと」

ライトに当たるとキラキラ光る華やかな「-黒煌-」には、室町時代に僧侶が生み出した醸造法「水もと」で造られた希少な酒「HANATOMOE 水もと × 水もと」を合わせました。

水もと製法の持つ乳酸のニュアンスが凝縮され、まるでチーズや発酵バターのような香りがある酒です

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maro盃 -jewel gold- × 「紀土 -KID- 純米酒」

純金を焼き付けたゴージャスな盃「maro盃 -jewel gold-」には、同じく白地のラベルに金色のロゴが入った「紀土 -KID- 純米酒」をコーディネート。紀州、和歌山の風土から生まれた口当たりの良く、上品な酒です。

ゴールド同士の組み合わせはおもてなしにぴったり

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maro盃 -platinum- × 「新政 タンジェリン 山吹 2022」

「新政 タンジェリン 山吹 2022」に使われているのは「フクノハナ」と言う希少な酒米。「-platinum-」(プラチナ)という盃で飲むのにふさわしい酒です。

一見すると日本酒には見えないボトルがユニーク

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maro盃 -alchemia- × 「帰農 KINO」

「帰農 KINO」は絶滅していた品種の米を復活させ、蔵元自ら育てて収穫し、その米で作られた日本酒です。田植えから始まり、丁寧に作られた酒。盃を眺めながら、ゆっくりと味わってみたくなります。

「-alchemia-」とは錬金術という意味。メタリックな輝きが魅力です

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maro盃 -homura- × 「而今 白鶴錦」

フルーティーな味わいとキレの良い後口が、スカイブルーのラベルとよく似合う「而今 白鶴錦」。「-homura-」を合わせ、カラーのコントラストを楽しむコーディネートになっています。

「maro盃 -homura-」の光沢のある質感がクリアな味わいの「而今」に合います

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maro盃 -purplite- × 「風の森 愛山 807」

日本では珍しい硬水を使った酒で、シュワシュワとした微発泡の泡が特徴。気泡のイメージに合わせて、ランダムに色が重なる「-purplite-」を合わせています。

「風の森」のラベルの色とのコーディネートも決まっています

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maro盃 -sira- × 「光栄菊 SNOW CRESCENT(スノウ・クレッセント)」

爽やかな香りとグレープフルーツのような果実感がある軽やかな飲み口の酒。ほんのりにごった色合いが「-sira-」の淡いベージュのような色合いに似合います。

フルーティーな味わいの「光栄菊」は千葉さんもお気に入り

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maro盃 -ice- × 「仙禽 幻の銀水晶」

千葉さんが「仙禽」とコラボレーションして造った酒。通常の日本酒より糖度の高い貴醸酒をバーボン樽に入れて熟成させて造られています。まるでバニラのような甘さが、白い盃を華やかにします。

千葉さん曰く、メロメロになってしまう甘い酒だそう

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器で伝えたい日本の酒文化

これからも宮下さんの器を使っていきたいという千葉さんに、どんな器があったらうれしいかを尋ねてみました。

千葉「宮下さんの平盃をいくつか持っているのですが、もっと平盃を使ってみたいなと思います。燗酒は日本酒が誇るべき独自の文化なんです。海外の方にも酒を徳利に入れて、お互いに酌み交わすというスタイルは好評です。平盃は燗酒にぴったり。日本でずっと続いてきた文化で、店でも大切にしていきたいと考えています。ですから、平盃、欲しいですね!」

「EUREKA!」で、まだまだ宮下さんの器の新しい魅力が発見できそうです。

Profile
千葉 麻里絵/Marie Chiba 日本酒ソムリエ 西麻布EUREKA!オーナー 第14代酒サムライ 岩手県出身。1985年1月25日生まれ。保険業界のシステムエンジニアから飲食業界に憧れて転身。飲食店で勤務す るなかで日本酒に魅了され、日本全国の酒蔵や酒販店を訪ねるようになる。酒類総合研究 所の研修に参加するなど日本酒の専門知識を習得し、化学的知見から一人ひとりに合わせ た日本酒を提供することで人気店舗となる。口内調味やペアリングというキーワードで新 しい日本酒体験を作り、さまざまなジャンルの料理人や専門家ともコラボレーションし、 新しい日本酒のスタイルを日々模索している。2019年には日本酒や日本の食文化を世界に 発信する「酒サムライ」に叙任。国内外の日本酒ファンを魅了し続けている。

text by Masako Odanaka photos by Hayato Tamura

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